無国籍三部作 No.2

マジック&ロス

Magic & Loss

《マジック&ロス》について……

 

スリリングでエロチックでミステリアスな超境と溶融の交響曲! 

暉崚創三 (映画評論家) 

 

見たことのない奇妙なピクニックに皆さんをご招待します!

ヤン・イクチュン(俳優・映画監督『息もできない』)

ストーリー

 

香港のリゾート地、ムイウォの東に位置する深い森。その先には、岩肌を流れる白糸が神秘的な美しさをたたえる滝があった。その妖しくむせ返るような樹々と滝音に導かれるようにして、2人の女性が出会う。日本人のキキと韓国人のコッピ、2人の滞在する森の傍らのホテルにはベルボーイただひとり。満室の貼り紙はあるが、他に客は見当たらない。世の中から完全に孤立した場所で、キキとコッピは徐々に時間の感覚をなくし、現実と幻想が入り混じる。やがて2人は、共鳴と反発を繰り返しながら互いを求め合うのだが… 

 

 

プロダクション ノート

 

香港のムイウォという妖しいリゾート地で共に旅することになった2人、日本人のキキと韓国人のコッピは、島の不思議な力に取り憑かれ、いつしか奇妙な関係に陥っていく。ムイウォは、文明から孤立し時間が止まってしまったような魅力がある一方、そこにある滝は多くの人が身を投げる自殺の名所とも言われている。リム・カーワイ監督はたった3人の俳優の関係と表現力によって、個のあいまいさ、生と死の境界を描く多重的な物語を築き上げた。誰が実在するのか、何が現実で何が幻影なのか、謎が謎を呼ぶ。

 

 

作品情報

 

出演:杉野希妃、キム・コッピ、ヤン・イクチュン
監督・編集・構成&プロット:リム・カーワイ
プロデューサー:杉野希妃
エグゼクティブプロデューサー:小野光輔、坂本雅司、岩倉達哉
原案:リム・カーワイ、ジュディス・ペルニン
撮影:メイキン・ファン・ビン・ファイ
照明:トーマス・チャク・チャン
録音:山下彩
音楽:Jo Keita
スチール:友長勇介
作中絵:クレール・ルヴェ
制作プロダクション・配給:和エンタテインメント
製作:「マジック&ロス」製作委員会(S・D・P、シネグリーオ、和エンタテインメント)
機材協力:Studio DU
特別協賛:フォトカノン戸越銀座店
 

2010年/日本・韓国・マレーシア・香港・中国・フランス・アメリカ/カラー/81分/HDStereo 

 

キャスト紹介

キキ:杉野希妃 Kiki Sugino
1984年広島県出身。スターダストプロモーション所属。慶應義塾大学経済学部卒。大学在学中にソウルに留学する。2006年、韓国映画『まぶしい一日』宝島編主演で映画デビューし、続けて『絶対の愛』(キム・ギドク監督)に出演。帰国後2008年に『クリアネス』(篠原哲雄監督)に主演。同年、自ら映画製作会社、和エンタテインメントを立ち上げ、様々な合作企画でカンヌ、ロッテルダム、パリ、上海、香港、釜山、東京などの映画祭のマーケットに招待される。また、EU公認のプロデューサー組織であるEAVEにも参加する。
2010年には3作品を主演兼プロデュース。『歓待』(深田晃司監督)は東京国際映画祭日本映画・ある視点部門作品賞、プチョン国際ファンタスティック映画祭NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した他、90以上の国際映画祭からオファーが殺到する。7カ国合作映画である本作は、釜山国際映画祭で初上映され、大阪アジアン映画祭ではコンペティション部門に選出。また、短編『避けられる事』(エドモンド・揚監督/マレーシア)も、ロッテルダム、ドバイ、全州、上海などの国際映画祭に招待される。
2011年『大阪のうさぎたち』(イム・テヒョン監督/韓国)がプチョン国際ファンタスティック映画祭の企画部門でKOFIC賞を受賞。さらに、東京国際映画祭アジアの風部門で「杉野希妃~アジア・インディーズのミューズ」という特集が組まれる。国際派女優兼プロデューサーとしても各国で期待されており、既存の枠にとらわれないボーダーレスな表現者を目指している。

コッピ:キム・コッピ Kim Kkobbi

1985年韓国出身。小学生のころから舞台に立ち、子役として多数の映画でキャリアを育む。1997年、フランスのImage Aigue劇団に入り、世界演劇祭で公演し、高校時代まで演劇活動を続けた。2002年『嫉妬は我が力』(パク・チャノク監督)で映画デビュー。印象的な目と表情で強烈なインパクトを与える。
2006年、百想芸術大賞新人監督賞を受賞した、韓国初の本格的ミュージカル映画『三叉路劇場』(チョン・ゲス監督)では、難関を乗り越えて主役を射止め、歌って踊り、コミカルな演技も披露し高い評価を得た。その他『チャーミング・ガール』(イ・ユンギ監督)、『シティ・オブ・バイオレンス-相棒-』(リュ・スンワン監督)、『うちにどうして来たの』(ファン・スア監督)などに出演。短編映画やインディーズ映画で実力をつける。
2009年、世界中の映画祭などで25以上の賞に輝き、世界を熱狂させた『息もできない』(ヤン・イクチュン監督)のヒロインを演じる。スペインのラス・パルマス・デ・グラン・カナリア国際映画祭主演女優賞、アジア太平洋映画祭主演女優賞、大鐘賞新人女優賞、青龍映画賞新人女優賞など数々の女優賞を受賞。2010年には本作の他、『鬼』、『恥ずかしくて』、『いま、殺しにゆきます』に大役で出演し話題を集める。韓国で今一番期待されている若手女優。

ベルボーイ:ヤン・イクチュン Yang Ik-June
1975年韓国出身。数々の職を経験した後、21歳で兵役に就く。除隊後に演劇を学び、演劇俳優によって設立されたアクターズ21アカデミーを経て、映画の道へ進む。ヒット作だけでなく作品評価の高い多数の短編映画の主演を務め、韓国インディーズ映画界で信頼される存在となる。2005年には『人間的に情がいかない人間』などの3つの短編映画でミジャンセン短編映画祭演技賞を受賞する。その後、日韓合作のオムニバス青春映画『まぶしい一日』宝島編や短編映画『けつわり』(安藤大佑監督)にも出演。
2005年に短編映画“Always Behind You”を初監督し、自ら主演。ソウル・インディペンデント短編映画祭観客賞など国内の数々の映画祭で受賞し、監督としても注目を集めた。その後“Just Leave Me Alone”と“Speechless”の2本の短編を監督。
2009年 『息もできない』で長編監督デビュー。製作、監督、脚本、編集、主演の5役を一人でこなし、監督としても俳優としても大絶賛される。その驚くべき才能で ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワード(グランプリ)、東京フィルメックスの最優秀作品賞と観客賞、キネマ旬報外国映画ベスト・テン第1位と外国映画監督賞をはじめとする、25以上もの賞に輝いた。
2010年には本作の他、『家を出た男たち』(イ・ハ監督)に出演。2011年全州国際映画祭のプロジェクトで短編映画『未成年』を監督。